GReddy GR86 タイムアタックコラム
なぜタイムアタックにチャレンジする事になったのか?
GR86コンセプトGReddyバージョン公開
令和3年6月6日にFuji 86スタイルで発表したGR86コンセプト GReddyバージョン。
それから正式にGR86は10月に発売となり、トラストとしてGR86コンセプトで製品開発、テストを行ってきたものを量産車で最終確認を行い、第一次製品開発の完了が見えた頃だった・・・
社内にて今後、GR86の製品開発を行っていく上での方向性と次のステージを見据えたときに、何が必要なのかという問題に直面した。
基本的なチューンアップから次なるステップへ
トラストが出した答えは吸排気チューン、サスペンション交換、駆動系の強化を終えたオーナーは走りのステージがストリートからサーキットへ移っていくだろう。また、モアパワーを求めるオーナー向けにトラストとしてもターボキットの発売を計画している上ではノーマルエンジンの耐久性を見極め、より限界走行時のGR86のポテンシャルを知る必要があると言う結果に辿り着いた。
そしてその両方を確認することが出来る場所として選んだのが筑波サーキットコース2000だ。ただ単にサーキット走行を行うのではなく目標タイムを1分切りに設定し、それに向けてパワー系の強化はもちろんトラストのモットーでもある『トータルチューンアップ』で車両を製作していく事が必須である。
2022年、東京オートサロン終了の翌日から車両製作に取り掛かり、タイムアタックへのチャレンジの場を全国の猛者が集まる『Attack TSUKUBA 2022』で敢行する事とした。
車両製作のレギュレーションや拘り
・タイムアタック車両を製作する上で社内レギュレーションとしたポイントは、今まで開発した量産パーツを極力装着し、後々ユーザーや販売店向けにデータやノウハウをフィードバック出来るようにし、市場から懸け離れたスペシャルカーとならないこと。
・外装については開発済みのGReddy × VOLTEXコラボモデルのエアロキットのみの装着とし、純正で採用されている空力アイテムを十分に活かすこと。
・車体の軽量化は行うが軽量カーボンパーツは使用しないこと。
・スポット増しによるボディ補強は行わないこと。
上記を今回のプロジェクトのレギュレーションとし、ドライバーはGReddyパフォーマンスダンパーのセットアップに携わったスーパーGT300クラスのドライバーで自身もGR86に乗る松井孝允選手に依頼する。
装着パーツ及び仕様
エンジン出力 205.94kw(280ps)
エキゾースト | GReddy パフォーマンスエキゾーストシステム サーキットスペック エキゾーストマニホールド+オーバーパイプ+ワンオフマフラー |
インテーク |
GReddy パフォーマンスインテークシステム |
エンジン | NOS(Nitrous Oxide System) |
GReddy アルミプーリーキット | |
足廻り | GReddyパフォーマンスダンパー TYPE-S(前後バネレートアップ) |
サスペンションアーム変更及びフルピロ化 | |
サスペンションメンバー及びマウント類 強化 | |
クラッチ | GReddyパフォーマンスクラッチ |
L.S.D | OS技研スーパーロックLSD デュアルコア |
ブレーキ | D2ブレーキキャリパーキット 6POT&4POT 前後356φ ドリルドローター |
シート | BRIDE |
ホイール | RAYS VOLK RACING NE24 18インチ9 1/2 J インセット43(前後同サイズ) |
タイヤ | YOKOHAMA ADVAN A050 256/35 ZR18 |
スタンダードエンジンの耐久性を見極めるため、今回はNOSを装着しNOSジェットを変更しながら出力データの収集を行った。
今後販売予定のターボキットを装着した場合の想定出力の目安となる結果を得る事が出来た。
実走行と結果
上記仕様にて2月11日シェイクダウン。タイムは1分1秒5だった。
テスト後、仕様変更と再セットアップを行い2回目の走行でGR86では初となる59秒911を達成。
残念ながらAttack当日に記録を更新する事は出来ませんでしたが、今回のチャレンジでチューニングしたGR86の性能データを収集する事が出来ました。
得られたデータは今後の製品開発のベースとなり、より良いものを作り出す事に繋がります。
再アタック
Attack TSUKUBA 2022終了後、目標としていた筑波サーキット2000でのタイム1分切りは達成したが、当日のアクシデントによりドライバー、トラストスタッフ共に『このままでは終われない』という気運が生じていた。
そしてシーズンオフ直前となる1ヶ月後の3月中旬に再びタイムアタックを行う事とした。再チャレンジを行うにあたりアクシデントが発生した要因の分析と対策、コースの各セクションごとにタイムを短縮させる術を熟慮し、それを車両に落とし込んだ。
そして仕様変更が完了したGReddy GR86で再びタイムアタックに挑んだ。当日は前回走行時よりも外気温も高く決してコンディションが良いとは言えなかった。あとは全てをドライバーに託しピットレーンから出ていくGR86を見守った。
・・・アウトラップからの3周目で前回のタイムを上回る『59秒273』を記録し、この時点でGR86 NAでの筑波サーキット コース2000での最速タイムを更新した。
前回から仕様変更した箇所
内容 | 効果 | |
エクステリア | リアウイングをサイドマウントからセンターマウント仕様に変更 | リア側ダウンフォースの増加 |
フロントカナードの追加(試作品) | フロント側ダウンフォースの増加 | |
足回り | バネレート及びセットアップ内容の変更 |
今回のチャレンジでGR86でのタイムアタックは一旦区切りをつけ、また新たな製品開発を行う上ではそのテストの場として、より過酷な条件下で走行するサーキットでのタイムアタックが必要とトラストは考えます。
より良い製品づくりを目指して我々の挑戦はこれからも続きます・・・
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